トモル

ねえルミナ、最近「探究学習」って言葉をよく聞くんだけど、そもそも探究学習とは何なの?普通の授業と何が違うの?

ルミナ

探究学習は、自分で問いを立て、情報を集め、整理・分析して、まとめ・表現する学びのことだよ!学校では小・中学校の「総合的な学習の時間」と高校の「総合的な探究の時間」が中心の場になっているんだ。

トモル

えっ、その2つって名前が似てるけど、別物なの?

ルミナ

いいところに気づいたね!そこはこの記事の大事なポイントだから、あとでじっくり説明するよ。まずは「探究学習とは何か」を、文部科学省の一次資料の言葉で確かめていこう!

探究学習とは何か

トモル

文部科学省は、探究学習をどう説明してるの?

ルミナ

文部科学省のページでは、総合的な学習(探究)の時間について「変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしている」と説明されているよ。

トモル

うーん、一文が長くてちょっと難しい…。

ルミナ

だよね(笑)。かみくだくと、ポイントは3つ。教科の枠を超えて学ぶこと自分の力で課題を解決していくこと、そして学びを自分の生き方につなげること。テストのために知識を覚える学びとは、そもそも目的が違うんだ!

トモル

生き方につなげる、かあ。思ったより壮大だね。用語も独特だし。

ルミナ

初めての人向けに、よく出てくる用語をひとことで言い換えておくね。

用語ひとことで言うと
横断的・総合的な学習教科の枠を超えて、テーマを丸ごと扱う学び方
探究的な見方・考え方自分の問いを持ち、各教科で学んだものの見方を組み合わせて考えること
資質・能力知識や技能だけでなく、考える力や学びに向かう姿勢まで含めた力

トモル

この表、助かる!ちなみに探究学習って、いつからいつまでやるものなの?

ルミナ

高等学校学習指導要領の解説によると、この時間は小学校3年生から高校修了時までの教育課程に位置付けられてきたんだ。10年近く続く、息の長い学びなんだよ!じゃあ次は、さっき保留にした「総合的な学習」と「総合的な探究」の違いを見ていこう!

「総合的な学習の時間」と「総合的な探究の時間」の違い

小中の総合的な学習の時間から高校の総合的な探究の時間への接続を示す図

ルミナ

ここは、探究学習を調べるときにいちばん混同しやすいところ。「総合的な学習の時間」は小・中学校、「総合的な探究の時間」は高校の時間の名前なんだ。

トモル

高校だけ名前が違うんだね。いつ、どうして変わったの?

ルミナ

平成30年(2018年)告示の高等学校学習指導要領で名称が変わったよ。学習指導要領の解説によると、中央教育審議会の答申で「小・中学校における総合的な学習の時間の取組の成果を生かしつつ、より探究的な活動を重視する視点から、位置付けを明確化し直すことが必要」とされたのを受けたものなんだ。

トモル

なるほど。で、名前だけじゃなくて中身も違うの?

ルミナ

うん、解説では「課題と自分自身との関係」で違いが説明されているよ。表で見比べてみよう!

項目総合的な学習の時間(小・中学校)総合的な探究の時間(高校)
課題との関係課題を解決することで自己の生き方を考えていく自己の在り方生き方と一体的で不可分な課題を自ら発見し解決していく
学びの姿探究的な学習高度化し、自律的に行われる探究
求められる段階探究のプロセスに慣れ、繰り返し経験する自分で問いを見いだすところから担う

トモル

高校では「課題を自分で発見する」ところまで求められるんだね。

ルミナ

そう!小中は「課題を解決しながら生き方を考える」、高校は「生き方と結びついた課題を自ら発見する」。連続しているけれど、段階が一つ上がるイメージだね。じゃあ、その探究学習では具体的に何をするのか、プロセスを見ていこう!

探究学習のプロセス(4つのステップ)

課題の設定から情報の収集、整理・分析、まとめ・表現へと循環する探究のプロセス図

トモル

探究学習って、授業では具体的に何をするの?

ルミナ

学習指導要領の解説にはっきり示されているよ。「課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現」という探究のプロセスを繰り返しながら、学びを深めていくんだ!

  1. 課題の設定 — 体験や興味・関心から問いを立て、自分の課題を決める
  2. 情報の収集 — 観察や実験、インタビュー、文献などで課題に関する情報を集める
  3. 整理・分析 — 集めた情報を比べたり関係付けたりして、自分の考えをつくる
  4. まとめ・表現 — 分かったことや考えたことを、資料や発表の形にして伝える

トモル

ふむふむ。一周まわして発表したら終わり?

ルミナ

ううん、ここが大事なところ!発表して終わりじゃなくて、まとめる中で新しい問いが生まれて、また課題の設定に戻るの。解説でも、この学習活動を「発展的に繰り返していくこと」を重視してきたと説明されているよ。らせん階段みたいに、回るたびに深まっていくんだ!

トモル

へえ!ぐるぐる回りながら上っていくイメージなんだね。

ルミナ

たとえばだけど、「駅前の商店街に人が少ないのはなぜ?」という問いを立てたら、お店の人に話を聞いて、集めた声を地図やグラフに整理して、気づいたことをポスターで発表する。すると今度は「じゃあ自分たちにできることは?」という次の問いが生まれる。そんなイメージだよ。

トモル

それなら小学生でもできそう!でも、それって効果はあるの?

ルミナ

解説によると、全国学力・学習状況調査の分析などで、探究のプロセスを意識した学習活動に取り組んでいる児童生徒ほど、各教科の正答率が高い傾向があることが明らかになっているんだ。探究は教科の学びとも、ちゃんとつながっているんだよ!

トモル

なるほどなあ。ただ、「調べて発表する」だけなら昔からある「調べ学習」と同じに見えるんだけど…そこはどう違うの?

探究学習と調べ学習の違い

ルミナ

その疑問、実は今まさに文部科学省の会議でも議論されている、いちばんホットなところなんだ。

トモル

えっ、国の会議でも話題になってるの?

ルミナ

うん。中央教育審議会の「生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループ」では、委員から「課題を設定して情報を集めて、まとめて発表するという調べ学習の域からまだ抜けていない実践もある」「そういったことは探究でも探究的な学びでもない」という趣旨の指摘があったの。

トモル

手順どおりにやっても、探究とは限らないってこと?

ルミナ

そのとおり。事務局からも、インターネットから収集した情報を単に切り貼りしている事例や、探究のプロセスを形式的に回して学びが空洞化している事例が見られる、という説明があったんだ。

トモル

問いが「自分のもの」になっているかどうかが境目なんだね。

ルミナ

そう!調べ学習は「すでにある答えを写す」で止まりがちだけど、探究は集めた情報から自分の答えをつくるところまでいく。ここが決定的な違いだよ。じゃあ、そもそもなんで今、そこまでして探究が大事にされているんだろう?

なぜ今、探究学習が重要なのか

トモル

たしかに、なんでこんなに探究、探究って言われるようになったの?

ルミナ

文部科学省は、その理由を「変化の激しい社会に対応」するためと説明しているよ。答えが決まっていない問題だらけの社会では、知識を覚えるだけでなく、自分で問いを立てて考え抜く力が必要になるからね。

トモル

社会の変化が前提にあるんだね。

ルミナ

それに、国際的な評価もあるんだ。学習指導要領の解説によると、総合的な学習の時間の役割は、OECDが実施する学習到達度調査(PISA)の好成績につながっただけでなく、学習の姿勢の改善に大きく貢献するものとして、OECDをはじめ国際的に高く評価されているんだよ!

トモル

日本の総合の時間って、世界から見られてたんだ!ちょっと誇らしいね。

ルミナ

だからこそ、次の時代に向けてもっと良くしようという議論が今、動いているの。最後に、その「これから」の話をしよう!

探究学習はこれからどうなる?

トモル

探究学習って、これからまた変わるの?

ルミナ

次の学習指導要領に向けた議論が始まっているんだ。令和7年(2025年)10月15日に、中央教育審議会に「教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループ」の第1回が開かれて、生活科と総合的な学習・探究の時間の見直しの検討がスタートしたよ。

トモル

どんなことが話し合われているの?

ルミナ

たとえば、小学校の総合的な学習の時間に「情報の領域」(仮称)を付け加えることが事務局から示されているよ。ほかにも、探究のプロセスの標準的なモデルをどう示すかや、探究の質をどう高めるかが議論されているの。ただしどれもまだ審議中で、決まったことではないから、そこは注意してね!

トモル

いつごろ結論が出る予定なの?

ルミナ

第1回の会議で事務局から、遅くとも令和8年(2026年)の夏頃までに取りまとめを行うと説明されたよ。第1回で何が話し合われたかは第1回のまとめでくわしく解説しているから、審議の中身が気になる人はぜひ読んでみてね!

トモル

審議はこれからが本番なんだね。じゃあ最後に、今日の話をギュッと圧縮してほしいな!

この記事の要点

ルミナ

はい、ここまでの話を3行にするね!

トモル

ありがとう!「探究学習とは何か」、やっと自分の言葉で説明できそうだよ。

ルミナ

自分の言葉で言い直せたら、それこそ探究の第一歩だね!もっと詳しく知りたくなったら、下の一次ソースの原文にもぜひ目を通してみてね。