トモル
ねえルミナ、文部科学省で「総合」と「生活科」を見直す会議が始まったって聞いたんだけど、本当なの?
ルミナ
本当だよ!2025年10月15日に、中央教育審議会の「教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループ」の第1回が開かれたんだ。次の学習指導要領に向けて、生活科と総合的な学習・探究の時間をどう見直すかを議論する場だよ。
トモル
えっ、学習指導要領がまた変わるの?
ルミナ
そのための検討が始まったところなんだ。2024年12月25日に文部科学大臣が中央教育審議会に教育課程の基準等の在り方を諮問して、2025年9月19日には検討の土台になる「論点整理」がまとまった。このワーキンググループは、その論点整理を受けて教科等ごとの具体的な議論をする場の1つだよ。
トモル
なるほど。第1回では何が話し合われたの?
ルミナ
議題は「主な検討事項について」。つまり初回だから「これから何を検討していくか」の論点出しが中心だね。会議は9時30分から11時30分まで、WEB会議と対面を組み合わせた方式で開かれて、事務局の説明のあと委員が1人ずつ意見を述べたよ。まずは論点の全体像から見ていこう!
今回の論点

| 論点 | 内容 | 現場への関わり |
|---|---|---|
| 生活科の学びの質 | 直接体験を深い学びにつなげる方策、AI時代の生活科の本質 | 低学年の単元構成、スタートカリキュラム |
| 探究の質の向上 | 探究の意味する範囲や質の共通認識、評価の考え方 | 総合・探究の年間指導計画とテーマ設定 |
| 情報の領域(仮称) | 小学校の総合に情報活用能力を育む領域を付加する構想 | 総合の時数配分と探究の組み立て |
| 持続可能な体制 | 特定の教師に負担が偏る傾向の是正、支援体制の整備 | 校務分掌、地域・企業との連携 |
トモル
表の中にある「情報の領域(仮称)」って何?初めて聞いた気がする。
ルミナ
論点整理で示された構想で、小学校の総合的な学習の時間に、情報活用能力を育てる「情報の領域(仮称)」を付け加えるというものだよ。あわせて中学校には「情報技術科(仮称)」を設けて、高校では情報科の充実を図る方向も示されているんだ。
トモル
総合の時間に情報が入ってくるんだ…!それは大きな話だね。実際の会議では、どんな説明や議論があったの?
主な議論の流れ
ルミナ
ここからは会議の流れに沿って見ていくね。冒頭で主査と主査代理の就任が報告されて、文部科学省からの挨拶では論点整理が示した3つの方向性が紹介されたよ。「深い学びの実装」「多様性の包摂」「実現可能性の確保」の3つだね。
トモル
実現可能性の確保って、先生の負担の話?
ルミナ
そう、教師に過度な負担感が生じにくい持続可能な在り方を追求して、教師と子供の双方に余白を創出するという方向性だよ。挨拶では、令和8年度(2026年度)の夏頃までに審議のまとめを出す予定というスケジュールにも触れられたんだ。
トモル
ふむふむ。それで、生活科についてはどんな課題が出たの?
ルミナ
事務局から、生活科は直接体験を重視しているのに体験の効果を十分に引き出せていないという課題が示されたよ。ほかにも、児童一人一人の思いや願いを生かした深い学びが実現できていないこと、安全面への配慮や時間的制約から地域に出かける活動が減っていること、学習意欲の低下も指摘されたんだ。
トモル
体験はしているのに、学びに結びついていないってことか…。
ルミナ
委員からも、直接体験を深い学びに結びつけ切れていない原因はどこにあるのか、体験の質なのか、振り返りの在り方なのか、教師の見取りやフィードバックなのか、と問い直す意見が出たよ。幼保小の接続についても、教育課程レベルでの前進が望まれるという声があったね。
トモル
総合と探究のほうはどうだった?
ルミナ
まず成果の確認から。総合の創設から約30年がたって、積極的に取り組む教師や児童生徒は増加傾向にあり、地域課題の解決や地方創生に寄与する例も生まれていると事務局から説明があったよ。探究の成果を高校・大学入試で積極的に評価する例が増えていることも紹介されたんだ。
トモル
おお、いい流れじゃない!じゃあ課題は?
ルミナ
ここが今回の核心だね。インターネットの情報を単に切り貼りする事例や、探究のプロセスを形式的に回して学びが空洞化している事例が散見されると指摘されたんだ。探究の意味する範囲や発達段階に応じた学びの姿が共通認識されていないこと、評価の考え方や方法が明確とは言えないことも挙げられたよ。
トモル
切り貼りかあ、耳が痛い話だなあ…。委員の意見ではどんな話が出たの?
ルミナ
委員からは、情報活用能力の指導が不足しているからこそ「活動あって学びなし」の状態が起きるという意見が出たよ。だから情報の領域(仮称)で探究と情報活用能力を一体的に指導する方向は重要だ、という受け止めだね。
トモル
なるほどね。評価についての意見はあった?
ルミナ
あったよ。探究のプロセスで集めた資料を子供自身が振り返って編集するポートフォリオ評価や、一人一人の探究の道筋に即した対話の中で評価することが重要だという意見が出たんだ。ルーブリックを使うなら、年間を通して成長を捉える長期的ルーブリックがよいという指摘もあったね。
トモル
データとか情報がほしい、みたいな話は出なかった?
ルミナ
出たよ。児童生徒が総合や探究をどう感じているかという子供の声と、総合で身につけた資質・能力を評価する高校入試の現状についての情報提供を求める意見があった。データを踏まえないと上滑りの改革議論になる、という問題意識だね。
トモル
たしかに、それは大事だ。生活科側の意見はほかにもあった?
ルミナ
探究や問題解決の力の源には身体性のある経験活動があり、そこから生まれる「気づき」を大切にすべきだという意見が出たよ。コロナ禍で関わりが切れがちだった飼育・栽培のような直接体験を取り戻すべきだという声もあった。教科との関係では、各教科の学習と探究が循環する学びを実現すべきで、STEAM教育との親和性も高いという指摘があったんだ。
トモル
現場の悩みに近い話も出てる?
ルミナ
出てるよ。総合や探究がイベント的・前年踏襲になっている実践への懸念、キャリア教育と総合の関係が未整理だという指摘、中学校では総合に取り組む学校が少ないという報告もあった。一方で、探究の指導が難しいと感じる先生に向けて具体例や基本的な探究のデザインを示すべきだという提案も出たんだ。教員自身が総合を通じて学び成長できる、という前向きな意見もあったよ。
トモル
具体例があると助かる先生は多いと思う!議論はどうやって締めくくられたの?
ルミナ
主査から、今日は論点を広げた段階なので、今後は構造化やより分け、価値づけを一緒に進めたいというまとめがあったよ。指導要領本体で扱うこと、解説に書くこと、その他の資料に送ることの仕分けもこれからの作業だね。じゃあ次は、この回で決まったことと決まっていないことをはっきりさせよう!
決まったこと・決まっていないこと
トモル
つまり、この回で何かの制度が変わったわけじゃないんだね?
ルミナ
その通り!第1回はあくまで論点出しで、具体的な結論は今後の審議に委ねられているんだ。標準授業時数の扱いは、このワーキンググループではなく教育課程企画特別部会と総則・評価特別部会で検討されて、令和8年(2026年)春頃をめどに一定の結論を得るとされているよ。
トモル
結論はこれからか。じゃあ、この段階で先生たちは何を意識しておけばいいの?
現場への影響
ルミナ
第1回の時点で授業やカリキュラムを変える必要はないけど、議論の方向は現在の実践を見直すヒントになるよ。たとえば「切り貼りで終わる探究」への問題意識は強いから、情報を集めたあとに自分の考えを組み立てる過程を意識した単元設計は、次期指導要領の議論を先取りする形になるね。
トモル
評価のヒントもあるんだよね?
ルミナ
うん。ポートフォリオで探究の足あとをためて、子供と対話しながら振り返る評価は、現行の学習指導要領の下でも取り組める方法だね。生活科なら、体験のあとの振り返りと表現の時間をどう確保するかが論点になっていたから、日々の授業でも意識できるポイントだよ。
トモル
焦らず、でも議論の方向は押さえておく、という感じか。ところで、さっきから出てくる用語で確認したいものがあるんだけど、いい?
用語ミニ解説
ルミナ
いいよ!この記事に出てきた用語を表にしておくね。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 総合的な学習の時間 | 小・中学校に置かれる、横断的・総合的な学習を行う時間 |
| 総合的な探究の時間 | 高校での名称。より探究的な活動を重視する観点から位置づけを見直したもの |
| 論点整理 | 教育課程企画特別部会が2025年9月19日に取りまとめた、次期改訂に向けた検討の方向性 |
| 情報の領域(仮称) | 小学校の総合に付加する構想が示された、情報活用能力を育む領域 |
| スタートカリキュラム | 幼児期の学びから小学校の学びへ円滑に移行するための、生活科を中心とした合科的・関連的な指導 |
トモル
「総合的な学習の時間」と「総合的な探究の時間」って、名前が似てるけど別物なんだね。
ルミナ
小・中学校が「総合的な学習の時間」、高校が「総合的な探究の時間」だよ。この区別は今後の議論を追いかける前提になるから、ぜひ覚えておいてね。それじゃ最後に、今後のスケジュールを確認しよう!
今後のスケジュール

- 2024年12月25日に文部科学大臣が中央教育審議会へ諮問
- 2025年9月19日に教育課程企画特別部会が論点整理を取りまとめ、9月25日に教育課程部会で了承
- 2025年10月15日に本ワーキンググループの第1回を開催(論点出し)
- 2025年11月10日に情報・技術ワーキンググループとの合同開催を予定(正式には後日連絡とされた)
- 令和8年(2026年)春頃をめどに、標準授業時数の扱いについて別部会で一定の結論
- 遅くとも令和8年(2026年)夏頃までに各ワーキンググループが取りまとめ
トモル
次回は情報・技術ワーキンググループと合同なんだ!
ルミナ
小学校の総合に情報の領域(仮称)を設ける構想があるから、2つのワーキンググループで一緒に検討する予定なんだ。それに先立って2025年10月20日の18時からは第2回情報・技術ワーキンググループが開かれて、このワーキンググループの委員はオブザーバー参加が可能ともアナウンスされたよ。
トモル
今日はありがとう!もっと詳しく知りたいときはどうすればいい?
ルミナ
下の一次ソースから議事録の全文が読めるよ。この記事は要点の紹介だから、気になった発言は必ず原文で確認してね!